90年代映画好きの私。
期間限定のリバイバル上映があるという情報をFilmarksで知り「ギルバート・グレイプ」を鑑賞してきました!
今回は、映画「ギルバート・グレイプ」について語りたいと思います。
映画「ギルバート・グレイプ」のあらすじと見どころ
「ギルバート・グレイプ」は、ジョニー・デップとレオナルド・ディカプリオの共演作品で(なんて贅沢!)、1993年に公開された映画です。
今年で公開から30周年となることを記念し、リバイバル上映が決定しました。
愛知県ではミッドランドスクエアシネマ(名古屋駅)で期間限定上映されました。
◆あらすじ
生まれてから一度も町を出たことがない24歳の青年・ギルバート=グレイプ(ジョニー・デップ)。 アメリカの田舎町に住むギルバートは、知的障害を持つ弟(レオナルド・ディカプリオ)と、 ある日、トレーラーハウスで旅する女性、ベッキーと出会ったギルバート。 |
◆見どころ
家族のために自分の人生を犠牲にする青年の抑圧された葛藤をジョニー・デップが演じ、 |
映画.comで4.1という高評価であったのもあり、期待を寄せて鑑賞!
そしてその評価通り。観に行ってよかったです。
まずジョニーデップとレオナルドディカプリオの共演という時点でミーハーとしては胸躍ります。笑
そしてそのネームバリュー以上の名作でした。
知的障害を持つ弟と過食症の母を支える青年・ギルバート
タイトルにもなっている「ギルバート・グレイプ」はこの作品の主役である青年の名前。
アメリカの田舎町に住む青年、ギルバート・グレイプを若きジョニー・デップが演じています。
ギルバートは、知的障害を持つ17歳の弟・アーニー(レオナルド・ディカプリオ)と、父の自殺をきっかけに過食症になった母の面倒を見る24歳の青年です。
冒頭から、少し目を離すと何をしでかすかわからないアーニーに翻弄される描写がどこかコメディチックで印象的。
アーニーの突拍子もない行動に振り回されつつも、ギルバートはアーニーのことをよく理解していて、弟への愛を感じられるシーンも多く、見ていてほっこりします。
夫の死から過食症になり、自由に動くこともできなくなるほどの巨体になってしまった母は家の中でずっとソファに座ったまま。
食事の際は母の前に机を運んでくるなどして母が動かなくてもいいように配慮して暮らしていました。
近くにできた大型スーパーに客足を取られながらも、のんびりと営業している地元の小さなスーパーで働いているギルバート。
当たり前のようにいつもの日常が流れていて、町に新しい何かが入ってきても自分とは関係がない、といった無関心な表情を見せます。
友人は「新しくできるバーガーショップで働きたいんだ!!」などと目をキラキラさせながら話しているけれど、それも自分とは関係のない話。
自分には世話をしなければならない家族がいて、働いている場所があって、変わる必要はない、いや変わらずにいなければならない。
心のどこかに一種の諦めにも似た感情があったのかもしれません。
ある日、祖母とトレーラーで旅をしている女性・ベッキーに出会い、徐々に心惹かれていくギルバート。
知的障害のある弟や過食症の母を世話するため、これまで自分の人生を犠牲にして生きてきて、自分のしたいこともわからなくなっていたギルバートに初めて「葛藤」が生まれました。
自分の人生を家族に捧げてきたギルバートの「葛藤」
24歳という若さで、過食症の母、そして知的障害のある17歳の弟の面倒をみているギルバートは、同年代の頃の自分には考えられそうにもないくらい、すごく大人びた静かな青年。
母や弟のアーニーの他にもエミーやエレンといった姉妹がいますし(長男もいるけれど家を出て行ってしまっている)、父を亡くした家族のために自分がしっかりしなくては、と一家の大黒柱になったような思いで家族を支えてきたのだと思います。
そうして家族を一生懸命支えるギルバートは、自分のしたいこともわからず、周りが望むままに流されて生きていました。
現代では「ヤングケアラー」と言われたりもしますね。
周りの人に頼ることや自分自身のケアができず、将来の夢や希望といったものが持てなくなる。
そんな複雑な苦悩を抱える青年を、ジョニーデップが見事に演じていました。
「無理しないで」「一人で抱え込まないで」と、映画中何度も声をかけたくなるようなギルバートの姿・・・。
ギルバートにとってはずっと続いてきた当たり前の日常なのだと思うけれど、自分の気持ちを大事にしていい、大事にしなければならない年齢の青年が、家族のために自分を犠牲にして暮らしている姿はとても切なく、手を差し伸べたくなるような描写でした。
それでも家族のために自分の気持ちを無かったことにして行動してきたギルバートの気持ちも、わかってしまう。
家族のために頑張ることも、ギルバートにとって決して望まないこととまでは言えないはずだからです。
そんな日常を当たり前と思って過ごしていたギルバートがある日、トレーラーで旅する女性・ベッキーに出会い、ベッキーと過ごす時間を通じて少しずつ自分の気持ちに変化が訪れます。
弟や母のケアでいっぱいいっぱいな自分の毎日に一筋の新しい光が差し込み、気持ちに変化が訪れ、そして変えられない日常に対する葛藤が生まれます。
その後のギルバートの心理描写も素晴らしかった・・・。
徐々に変化していく心の動きが表情や行動に現れていて、胸をギュッと掴まれるようなシーンがたくさん・・・涙なしには見られないです(;ω;)
知的障害のある弟・アーニーを見事に演じたディカプリオ
この映画の魅力をぐんと引き上げてくれたのは知的障害のある弟・アーニー役のディカプリオの演技だと思います。
アーニーという難しい役どころを見事に演じ切っていました。
問題行動を起こして度々兄を困らせるアーニーですが、笑顔が無邪気で愛らしく、母や兄を慕う様子は言葉にできなくても伝わってきます。
アーニーがベッキーに懐いて距離を縮めてくれたおかげでギルバートは新しい生き方を考えるきっけができ、世界が拓けていったわけですし、まさにキューピッドですね。
アーニーを演じたディカプリオの年齢は当時19才。
映画の中では19才にはとても見えないほどあどけない印象。それも役作りでしょうか。
自身が学生の頃は「顔がかっこいい!」ということくらいしか魅力が分かっていませんでしたが、改めてディカプリオの凄さに気付かされた作品でした。
映画「ギルバート・グレイプ」ぜひ観てみてください!
今回は映画「ギルバート・グレイプ」について鑑賞レビューをさせていただきました〜。
リバイバル上演は終わってしまいましたが(一部エリアで上映されていることはあります)、U -NEXTやhuluといった動画配信サービスで観ることができますので、ぜひ一度ご覧になってみてくださいね。